目次
はじめに
FX(外国為替証拠金取引)は、少ない資金で自己資金以上の大きな取引ができる点から、特に資金の少ない人にとって魅力的な投資手段です。しかし、そんなに甘い話はありません。FXにはさまざまなリスクが潜んでおり、安易に始めると大きな損失を招くことにもなりかねません。
この記事では、初心者が注意すべき3つのポイントについて解説します。これから説明する内容をしっかりと守らなければ、利益を得るどころか、かえって損をすることにもなりかねません。リスクを抑えながら堅実に運用を続けるための基礎を、しっかりと確認していきましょう。
リスク1: レバレッジ
FXの大きな特徴である「レバレッジ」は、少ない資金で大きな取引を可能にする一方、リスクも増大します。ここでは、レバレッジの基本的な仕組みと、初心者が注意すべきポイントについて説明します。
レバレッジと必要証拠金の基礎知識
手元の資金を何倍にもして取引できる仕組み(レバレッジ)ですが、適切な管理が必要です。レバレッジを利用する際は、まず必要証拠金と証拠金維持率について理解しておきましょう。
- 必要証拠金:取引額に応じて口座に保持する必要がある最低限の資金です。例えば、1ドル=150円のレートで1万ドル分を取引する場合、必要証拠金は以下の通りです。1ドル=150円 × 1万ドル = 150万円国内のFX口座でレバレッジ25倍を使う場合、この取引に必要な証拠金は150万円 ÷ 25 = 6万円となります。この6万円が、1万ドル分の取引に必要な最低限の資金です。
- 証拠金維持率:証拠金維持率は、現在の資金が必要証拠金の何パーセントに達しているかを示す指標です。証拠金維持率が100%に設定されている場合、資金が証拠金の100%を下回ると強制的に決済(ロスカット)されます。本当は損切りしたくなくても、証拠金維持率が基準を下回ると自動的に損切りが発動されてしまいます。強制ロスカットを避けたいからといって、証拠金維持率を80%や50%に低く設定する人もいますが、維持率を下げるとさらに多くの損を抱えた段階で決済されることになり、結果的により大きな損失が出るリスクが高まります。証拠金維持率を下げることは、リスクを回避する手段ではなく、むしろリスクを増大させることに注意しましょう。
適切なレバレッジ活用法
レバレッジは資金効率を高めるための手段として非常に有効ですが、初心者にとっては、無理のない余裕資金でレバレッジを使うことが大切です。余裕資金をもとにして3倍程度のレバレッジをかけると、資金効率が良くなります。以下に具体例を示します。
- 例1:貯金が1000万円ある場合
余裕資金の100万円を使い、3倍のレバレッジをかけて300万円分の取引を行います。
100万円 × 3倍 = 300万円このように、貯金の一部で適度なレバレッジをかけることで、資金効率が良くなり、万一損失が発生しても全体の資金への影響が限定されます。 - 例2:貯金が100万円しかない場合
貯金全額の100万円を使い、同じく3倍のレバレッジで300万円分の取引を行います。
100万円 × 3倍 = 300万円この場合、貯金の全額を取引に充てているため、損失が発生すると資金へのダメージが非常に大きくなります。少しの相場変動であっても損益が大きく影響しやすく、損失に対してシビアな運用が求められることになります。
余裕資金で適度なレバレッジをかけることは、資金効率の面からもメリットがあります。しかし、資金が少ない投資家にとっては、レバレッジは大きなリスクとなる可能性が高いため、慎重な判断が求められます。
FXの基本的なレバレッジの仕組みとリスクについての詳細は以下をご参照ください(外部サイト DMM FX公式サイト)↓
レバレッジとは?資金効率を高める「レバレッジ」 – 初心者向けガイド
リスク2: 損切りの重要性
FX初心者が陥りやすいリスクの一つに「損切りができない」ことがあります。損切りとは、損失が拡大する前に取引を終了し、リスクを抑えるための重要な判断です。「損小利大」(損を小さく、利益を大きくする)を実行するために、損切りのルールを徹底することが求められます。
損切りラインと利益確定ライン
初心者は、損切りをためらい「相場が戻るかもしれない」と期待してしまいがちです。いくつかのケースでは、相場が戻って損をせずに済むこともありますが、この経験が重なると「損切りしなくても大丈夫」と思うようになり、損切りができなくなります。
しかし、このような行動を続けていると、いずれ大きな損失を抱えることになりかねません。そのため、エントリー前に「相場が○○円に達したら損切り」「相場が○○円に達したら利益確定」といったラインを設定し、絶対にそのラインを変えないことが重要です。感情に流されず、設定したラインを守ることで、安定した取引が可能になります。
損小利大を実行できないリスク
初心者は、小さな利益を積み重ねる一方で、1回の大きな損失でそれまでの利益が一気に消えることが多いです。例えば、1回1000円の利益を99回積み重ねても、1回の損失で10万円を失えばトータルでマイナスになります。これは「損大利小」の典型であり、コツコツと積み重ねた利益が一瞬で「ドカン」と吹き飛ぶ状況です。
こうした失敗を防ぐには、損切りと利益確定のラインを事前に設定し、絶対に変更しないルールを守ることが重要です。利益を小さく確定させすぎず、損失が膨らまないようにすることが、長期的な成功のカギとなります。
損切り貧乏を防ぐために
一方で、損切りが早すぎて利益を十分に取れず、「損切り貧乏」に陥るケースもあります。損失が怖いために早急に損切りを繰り返し、小さな損を積み重ね、利益を得るタイミングを逃すことが増える状態です。このように、損切りが頻繁すぎるとコツコツと損を重ね、時折発生する大きな損で資金が減ってしまう悪循環に陥ります。
リスク3: 短期トレードの注意点
FXには、デイトレードやスキャルピングといった、数秒から1日で取引を完了させる短期トレード手法があります。短期間で利益を狙う手法ですが、その分だけリスクも伴います。
確率論に頼る短期トレードの不確定要素
短期トレードは、テクニカル分析に基づき、過去のチャートを分析して行われることが一般的です。投資家は、過去の値動きのパターンや確率論から将来の動きを予測し売買を行いますが、短期的な相場の動きは突発的なニュースや市場の不安定要素に大きく影響されやすく、不確実性が高まります。
短期トレードは、少しの相場変動でも大きな損益に直結するため、冷静な判断が難しく、感情的になりがちです。大切な資金を不確定要素にさらし過ぎないように、リスクを取り過ぎない堅実な運用が重要です。
まとめ
この記事では、FX初心者が知っておくべき3つのリスクについて解説しました。それぞれのリスクには「レバレッジの扱い方」「損切りの徹底」「短期トレードの注意点」が含まれています。これらをしっかりと理解し、堅実なルールに基づいて取引することで、リスクを抑えた取引が可能になります。
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